むかしばなしすんごい好きだった。そんな自分がいやでたまらなくって あるときふと、酸が物質を溶かしきるように 私自身が跡形もなく消えてなくなるゆめを見た。 内臓も血管も通う血さえ 全部なかったことになる日 私がこの世から消えると同時に 世界が終わるゆめをみたよ。 どんなにいやでつらくてくるしくても 人間は簡単に死ねない。そんなの知ってる でもたしかに感じる 息をするたびに、じゅわ、と内部が発泡していくのを 自分の隣にいる度に、笑っている度に細胞が死んでいく ふかくてくらい海に溺れていくようにおそろしい 二人して泣いたことを覚えている 涙を見せなきゃ大人になれない子供だった お互いを手放すのも掴すのもできずに泣いて ごめんと手を振ってさよならしたんだ (人を本気で好きになったことが、ある) (人間は内的要因で死ねるんじゃないかと思ったことが、ある) 告白をしあったあの日 楽しく笑っていた日常には戻れないと思った いつだって中途半端に拒んだのは、私だったね 本気で向き合いたいと、思ってはいたけれど しょせん子供にはむりなはなしで また出会うかもしれないあの人とは しばしの小休憩を挟んで、またどこかで。 次会うまでに、良い人間に、お互いなっていればいい ジャンル別一覧
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